case-143: こだわりのピンクとブルーの自毛で思い出のエクステを作成

治療で髪が抜けてしまう前に、ご自身で育ててきたピンクとブルーの髪を、エクステとして残しました。

こだわりカラーピンクとブルーの自毛でエクステ制作
お客様の自毛をそのまま使用。色は一切変えていません
目次

「この色を、なくしたくない」

ご依頼のきっかけは、治療による脱毛でした。

時間をかけてブリーチを重ね、根元から毛先へ向かってグラデーションになるように染めた髪。ピンクとブルー、二色を並べて楽しんでいらっしゃったそうです。

治療が始まれば、この髪は抜けてしまう。伸ばし直すことはできても、同じ色をもう一度作るのは簡単ではありません。「記念に残しておきたい」というお気持ちで、切った髪を送ってくださいました。

当工房には医療用ウィッグのご相談が多く届きます。ただ、こうした「なくなる前に形にしておきたい」というご依頼も、ときどきいただきます。かぶるためのものではなく、取っておくためのもの。目的が違うので、作り方も変わります。

届いた髪と、最初に決めたこと

束ねた状態で届いた髪は、長さ40cm前後。ピンク・ブルーそれぞれに、しっかりとした量がありました。

まず決めたのは、色には一切手を加えないことです。

ブリーチを繰り返した髪は、色が抜けやすく、扱ううちに退色することがあります。仕上がりをきれいに見せるなら、染め直すという選択肢もありました。

ただ、このご依頼の目的は「ご自身の髪を残すこと」です。色を入れ直せば、それはもう工房が作った色になってしまいます。毛先に向かって淡くなっていく、この方だけのグラデーション。そこに価値があるのだから、触らないほうがいい。そう判断しました。

抜けにくくするための折り返し

ブリーチとカラーを重ねた髪は、健康な髪にくらべて表面が傷んでいます。エクステの根元部分は髪を折り返して縫い留めますが、傷んだ髪は摩擦が効きにくく、通常の長さで折り返すと、使っているうちに抜けやすくなります。

そこで、折り返しを通常より長めに取りました。根元に留まる部分が増えるぶん、一本一本が抜けにくくなります。

写真の上部、色が濃く見えている部分がそれです。少し厚みがあるように見えますが、これは長持ちさせるための構造です。

糸の色も、髪に合わせました

縫い糸には、ピンクの髪にはピンクの糸、ブルーの髪にはブルーの糸を使いました。

強度には関係のない部分です。白い糸でも黒い糸でも、機能は変わりません。

ただ、手に取ったときに違う色の糸が見えると、そこだけ「作り物」の顔になります。記念に取っておくものなら、そういう部分がないほうがいい。髪をかき分けたときも、端を眺めたときも、ぜんぶ自分の色であってほしい。

言われなければ気づかれないところかもしれません。それでも、合わせました。

仕上がりと、使い方

完成したのは、ピンク・ブルー各1本のエクステです。

毛の長さ約30cm
1.5m
両脇の糸20cmずつ長めに
使用した髪お客様の自毛(ピンク・ブルー)

幅を1.5mと長く取りました。使うときに、必要な分だけ切って使えるようにするためです。

ここが大事な点で、どこで切ってもほつれません。縫い方を工夫してあるので、「少しだけ使いたい」「全部まとめて付けたい」のどちらにも対応できます。使うたびに工房へ送り直す必要はありません。

2通りの付け方ができます

クリップを縫い付ける
市販のエクステ用クリップを縫い付ければ、付け外しが簡単になります。普段使いに向いています。

両脇の糸で結びつける
両脇に20cmずつ長めに糸を残してあります。結んだ髪やお団子に巻き付けて、この糸で留められます。クリップを付けずに使いたいときや、ウィッグの上から足したいときに便利です。

髪は、取っておけます

治療で髪を失うと分かったとき、多くの方は「ウィッグをどうするか」を考えます。それは必要な準備です。

ただ、それとは別に、いまある髪をどうするかという選択もあります。切った髪は、そのままでは保管しているうちに散らばってしまいます。形にしておけば、取っておけます。

今回はエクステでしたが、ヘアシートや付け毛にすることもできます。量が少なくても、作れるものはあります。

治療が始まってからでは間に合いません。切る前に、一度ご相談ください。どのくらいの長さで切ればいいか、どれだけの量が必要かをお伝えできます。

費用については費用・料金についてをご覧ください。髪の送り方は自毛のカット方法と送り方にまとめてあります。

自毛(地毛)かつらウィッグ製作専門工房
店長 野沢昊未(のざわ ひろみ)
電話 0296-28-5097

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この記事を書いた人

1969年生まれ。自身の脱毛経験を経て、オーダーメイドの自毛かつら(地毛ウィッグ)製作を専門とするウィッグ販売製作の傍ら製作講師として活動。
2023年9月10日より、これまでの実績を礎に、さらなる飛躍と誠実な手仕事を期して活動名を「野沢ひろみ」から「野沢 昊未」へと改めました。
「髪は、その人を象徴する大切なもの」という信念のもと、一本一本に心を込めた植毛と、最高級の素材選びにこだわり続けています。治療中の方や髪にお悩みを持つ方が、鏡を見た瞬間に「いつもの私だ」と笑顔になれるような、温もりのあるウィッグをお届けします。

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